アメリカに到着した初日は、トラブルの連続でした。
AirPodsをなくし、初めての海外運転に緊張し、ナビが消え、最後には自分でeSIMまで削除してしまう。
モントレーにたどり着くだけで精いっぱいだった一日から、一夜が明けました。
この日は、モントレーで丸一日を過ごす最初の日です。
振り返ってみると、前日は予定外の出来事が起きるたびに焦っていました。
でも、この日は違いました。
予定通りに進まないことさえ、旅の楽しさになっていたのです。
ようやく私たちの旅が始まりました。
モントレーの朝を走る
この日も、いつものように3時30分頃に目が覚めました。
さすがにこの時間から動き出すとホームステイ先の家族を起こしてしまいそうなので、静かに朝の時間を過ごし、4時30分頃から活動を始めます。
いつもの朝のルーティンを終え、ランニングへ。
ラバーズポイントから海岸沿いを走ってみることにしました。
朝6時30分頃になると、海岸沿いには思っていた以上に多くのランナーがいます。
すれ違うと、
「Good morning!」
と声をかけてくれる人もいました。
知らない土地を一人で走っているので多少の緊張はありましたが、たくさんの人が朝から走ったり散歩したりしている様子を見ると、不思議と安心します。
海岸沿いを進み、スタンフォード大学の海洋研究施設、モントレーベイ水族館、Cannery Rowを通過。
さらにOld Fisherman’s Wharfまで走りました。
ホエールウォッチングの受付付近では、シャチが描かれたかわいいトレーナーを発見。
「お土産にいいかも」
と思いながら、再び来た道を戻ります。
往復で約7km。
最後にラバーズポイントで瞑想もしてみました。
ただ、朝とはいえ周囲には散歩をしている人もいます。
海外で目を閉じ続けることへの警戒心もあり、完全には集中できません。
8分ほどで終了しました。
それでも、モントレーの海を眺めながら始まった朝は、とても気持ちのいいものでした。

朝食のはずが、話は止まらない
ホームステイ先に戻ると、猫と遊びながら朝食。
そして、ケイさんとの会話が始まりました。
話題は、アメリカの物価や給料、働き方、治安、モントレーに住んでいる人たちのことなど。
実際にそこで暮らしている人から聞く話は、観光ガイドやインターネットで調べる情報とは違います。
「アメリカでは実際どうなんだろう?」
と思っていたことを次々と聞いているうちに、気がつけば11時近くになっていました。
この日の予定はモントレーベイ水族館。
そろそろ出発しなければなりません。
ようやく家を出て、水族館へ向かいました。
水族館へ行くはずが、Otter Pointで寄り道
ところが、水族館にはなかなかたどり着きません。
海岸沿いに車を走らせていると、途中に駐車スペースがありました。
そこにあった看板を見ると、「Otter Point」の文字。
「ラッコが見られるのかな?」
せっかくなので、急遽車を停めて探してみることにしました。
海を見渡してみましたが、最初はなかなかラッコを見つけることができません。
その代わり、目の前に広がっていたのが、一面のピンク色でした。
アイスプラントの花です。
海岸沿いには、散歩をする人、釣りをする人、絵を描いている人。

それぞれが思い思いに、この場所の時間を楽しんでいました。
私たちもラッコを探しながら海を眺めていると、今度は海面から3〜4頭ほどの背びれが見えました。
おそらくイルカです。
「イルカがいる!」
まさか水族館へ向かう途中で野生のイルカを見るとは思っていませんでした。

さらに海岸沿いを歩いていくと、今度は海面に何かが浮かんでいるのを見つけました。
よく見ると、今度こそラッコです。
海にぷかぷかと浮かびながら、何かを食べています。
最初に車を停めた場所では見つけられなかったラッコにも、ようやく出会うことができました。
イルカを見つけ、ラッコを見つけ、海を眺めながら歩いているうちに、気がつけばずいぶん先まで来ていました。
そして、ふと気づきます。
「これ、車まで戻るの大変じゃない?」
そこで私だけ来た道を戻り、車を取りに行くことにしました。
車をラバーズポイントまで移動させ、今度は歩いて家族を迎えに行きます。
水族館へ向かっているはずなのに、なかなか水族館には着きません。
でも、この日はそれが不思議と楽しかったのです。
リスに夢中になる息子
朝に走ったラバーズポイントも、昼間になると雰囲気がまったく違います。
芝生にはリスが姿を現し、カモメも歩いています。
息子はリスを見つけると、すっかり夢中になりました。
近づいてくるリスをじっと観察します。
予定にはなかった時間です。
前日の私なら、
「そろそろ行こう」
「時間がなくなるよ」
と焦っていたかもしれません。
でも、この日は違いました。
水族館に早く着くことより、目の前で子どもが楽しんでいる時間の方が大切に思えました。
予定通りに進まないことさえ、旅の楽しさになっていました。

水族館へ向かう途中にも、野生動物
今度こそモントレーベイ水族館へ向かいます。
ケイさんからは、
「観光客向けの駐車場は有料だけど、少し離れれば無料で停められる場所もあるよ」
と教えてもらっていました。
ところが、すでにお昼近く。
無料で停められそうな場所は、ほとんど埋まっています。
ようやくスタンフォード大学の海洋研究施設、Hopkins Marine Stationの近くで路上駐車できる場所を見つけました。
そこから再び歩いて水族館へ向かいます。
すると海岸に、アザラシの姿が見えました。
しかも、その中には白っぽい小さな赤ちゃんもいます。
水族館に入る前から、海岸で野生動物を見ることができる。
モントレーの海の豊かさを感じる光景でした。
ようやくモントレーベイ水族館へ
そして、ようやくモントレーベイ水族館に到着しました。
ここでまず楽しみにしていたのがラッコです。

ちょうど餌を食べる様子も見ることができ、子どもたちも夢中です。
館内を歩いてみると、想像していた以上に見応えがあります。
波を再現した展示、大きな水槽の中を海藻の間を縫うように泳ぐ魚たち。
地下へ進むと、深い海の世界を感じられる展示もありました。
特に印象に残ったのが、生き物に実際に触れることのできるタッチプールです。
子どもたちが生き物を観察していると、スタッフの方が近くに来て、その場でいろいろと説明してくれました。
決められた時間のイベントというより、来館者の様子を見ながら自然に説明してくれる。
日本の水族館とは少し違う雰囲気を感じました。


遅い昼食、そしてCannery Rowへ
水族館を見終わる頃には、すっかり遅い時間になっていました。
15時頃、海を眺められる場所で遅めの昼食。
ケイさんが用意してくれたパンやフルーツを食べます。
その後はCannery Rowへ。
今回の旅行前、私はYouTubeで何度もモントレーの動画を見ていました。
その画面の中にあったCannery Rowを、今、自分が家族と一緒に歩いています。
子どもたちは、YouTubeで見たことのある射的ゲームを見つけて何度も挑戦。
それぞれ気に入ったお土産を買い、妻も自分用のお土産を選びました。
私は一人で車を取りに戻ります。
そしてCannery Rowを歩きながら、ふと思いました。
本当に家族をアメリカに連れて来れたんだ。
何度もYouTubeで見ていた場所。
そこを自分が歩き、その先には家族が待っています。
初日のトラブル続きの時間も含めて、ようやく「アメリカに来た」という実感が湧いてきました。
初めて家族で英語注文
夕食は、本場のアメリカらしいハンバーガーを食べることにしました。
ケイさんがおすすめしてくれたのが、In-N-Out Burgerです。
「ドライブスルーはものすごく並ぶことがあるから、店内で食べた方が早いかも」
と聞いていたので、私たちは店内へ。
そして家族にとって、初めての英語での注文です。
全員で少しあたふたしながら注文します。
特に何度も聞かれたのが、
「Onion?」
でした。
出てきたハンバーガーを食べて、その理由が少し分かりました。
玉ねぎはしっかり火を通して柔らかくしたものではなく、シャキッとした食感と辛味が残っています。
子どもたちは苦手だったようで、結局、子どもたちの玉ねぎまで私が食べることになりました。
でも、この玉ねぎが肉々しいパティによく合います。
In-N-Out Burger。
とてもおいしいハンバーガーでした。

息子が探し続けたアメリカのおもちゃ
夕食後は、Targetなどがあるショッピングエリアへ。
妻と娘はOld Navyで娘の服を見に行き、私と息子には別の目的がありました。
アメリカのおもちゃ、Nerfを探すことです。
息子と何軒か店を見て回りますが、なかなか見つかりません。
今思えば、雑貨店や洋服店、工具を扱うような店まで探していたので、見つからないのも当然です。
そして最後に、食料品を買う予定だったTargetへ。
そこでついに、NerfやX-Shotが並んでいる売り場を発見しました。
息子は大喜び。
朝のリスといい、おもちゃ探しといい、この日は息子にとっても楽しい一日になったようです。

モントレーで過ごした長い一日
最後にTrader Joe’sで買い物をして、ホームステイ先へ戻りました。
家に帰ってからも、ケイさんとの話は続きます。
物価、社会保障、医療保険、モントレー周辺のこと、住んでいる人たちのこと。
さらには高校時代の話まで。
気がつけば22時を過ぎていました。
その間、子どもたちはピザを作ったり、パズルをしたりして過ごしていました。
朝3時30分頃に目を覚まし、海岸を走り、ラッコを探し、リスを眺め、水族館へ行き、Cannery Rowを歩き、ハンバーガーを食べ、おもちゃを探す。
予定していたことも、予定していなかったことも、たくさんあった一日でした。
前日は、予定外の出来事が起きるたびに焦っていました。
でも、この日は、予定通りに進まないことさえ楽しんでいました。
アメリカに到着して二日目。
ようやく私たちの旅が始まった。
そんな一日だったように思います。
そして翌日は、いよいよ今回の旅の大きな目的の一つ。
ホエールウォッチングです。
船酔いだけは避けたい。
そう思いながら、酔い止めを飲んで眠りにつきました。
📖 前後のお話
第9話へ続く(準備中)

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